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税理士 奥 山 寛 樹

神奈川県横須賀市の会計事務所ブログ

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労働保険の年度更新28年度のポイント

◆雇用保険料率は引き下げ


 労働保険料は前年の4月から今年の3月までに支払った賃金を基に昨年度(平成27年度)当初に概算で申告、納付していた保険料を今年度(平成28年度)の初めに精算します。この申告納付する事を年度更新と呼んでいます。今年度も申告書は5月末ころに事業所への申告書送付がスタートし、申告と納付は6月1日より7月11日までに行います。
 保険料は労災保険料と雇用保険料ですが、労災保険料率の変更はありません。雇用保険料率は新年度から引き下げられています。一般の事業1000分の11(前年度1000分の13.5)、農林水産・清酒製造の事業1000分の13(前年度15.5)、建設の事業1000分の14(前年度1000分の16.5)です。


◆法人番号の記載が必要になる


 労働保険の申告書用紙の様式が変更され「法人番号欄」記載欄が追加されています。法人番号とは国税庁から通知された13桁の番号でこれを記入します。1法人につき1つ割り当てられるもので支店や事業所においても同じ番号を記載します。個人事業主の場合は13桁全てに「0」を記入しておきます。


◆建設の事業は消費税の取り扱いに注意


 建設の事業で労務費率により、保険料の算定基礎となる賃金総額を算出する場合、前年度中に終了した事業については事業の開始時期により消費税率にかかる暫定措置適用の有無が異なっています。詳しくは年度更新のリーフレットに記載されています。また厚労省HPでも確認できます。


◆熊本・大分における地震被害に伴い、労働保険料等の納付猶予を受ける場合、今年の4月に熊本・大分県を中心に発生した地震により、事業経営の為に直接必要な財産(事業財産)に相当の損失(概ね20%以上)を受けた事業主は「納付猶予申請書」および「被災証明書」を提出する事により一定期間納付の猶予を受ける事ができます。
 この申請は年度更新申告書の提出とともに行う事も可能です。但し、被災額が申告書提出までに確定しない時は災害が止んだ日から2ヶ月以内に行えます。
 詳細は厚労省HPでも確認ができます。
















終点
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◆ 相続で取得した資産 その耐用年数

 
 相続で取得した減価償却資産は、特殊な事例を除いて殆どが中古資産です。この中古資産について、取得価額について明文の規定はありますが、耐用年数については規定がありません。

 そこで、減価償却資産の耐用年数等に関する定めを適用して算出した耐用年数、いわゆる中古資産を取得した場合の簡便法(当該資産の法定耐用年数から経過年数を控除した年数に経過年数の2割に相当する年数を加算したもの)が適用できるかどうかです。

 結論は、「相続により取得した減価償却資産には中古資産の耐用年数の簡便法は適用できない」です。高裁まで争われましたが、その論拠は次の(1)、(2)です。


(1)取得日及び取得価額の引継ぎ規定

 譲渡所得の計算において、相続・贈与等で取得した資産を譲渡した場合には、その者が引続き当該資産を所有していたものとみなす、とする「取得日の引継ぎ」規定があること。

 それと平仄を合わせるように、相続・贈与等で取得した減価償却資産の取得価額についても、その者が引続き所有していたものとみなした場合における当該減価償却資産に所定の償却に関する規定を適用して算出された場合の取得価額に相当する金額、とする規定があること。

 そして、これらの規定の趣旨を勘案すると、取得価額のみならず、償却費の計算に当たり必要となる耐用年数及び残存価額も前所有者から取得者に引継がれると解すべきであるとしています。


(2)耐用年数簡便法の適用場面

 中古資産を取得した場合の耐用年数簡便法の適用趣旨は、中古資産によって経過年数も様々で、これに一律の耐用年数を設定することは無理であることから特別に定めた規定であり、中古資産を取得した時点における取得価額を当該取得後における使用可能期間等に償却費として配分するために設けられた規定であること。

 そして、相続等により取得した減価償却資産については、取得者は前者の新品としての取得価額を引継ぐことになり、この取得価額に対して通常の法定耐用年数が適用されるのであって、相続等による取得の時点で取得価額が発生することはないから、簡便法の適用の余地はないとしています。






























12月エントリーブログ

◆ 許認可事業の事業承継対策

◆社長の平均年齢は過去最高齢の59.0歳!

 帝国データバンクが行った2015年全国社長分析によると、社長の平均年齢推移は一貫して上昇を続けており、2014年は59.0歳と過去最高を更新したそうです。自分が作り上げてきた事業を、更に育ててくれる後継者に引き継がせたい、そんな想いで事業承継に取り組んでいる社長も多くいらっしゃることと思います。事業承継を巡っては様々な経営資源が問題の対象になりますが、本日は「許認可」に焦点を当てて考えてみます。


◆許認可事業は承継される?

 会社で行っている事業が何らかの「許認可」を得ている場合、その事業は預貯金や株式などの資産と違い、必ずしも次世代へ引き継がれるというわけではありません。許認可を取得する際、「ヒト(人的要件)・モノ(物的要件)・カネ(財産的要件)」の三要件を満たすことと掲げられている場合が多く見受けられます。このうち、もし社長自身が「ヒト」の要件を満たしその許認可を取得していると、社長が退くことで、事業そのものを維持できなくなってしまうこともあるのです。ここでは、建設業を例に挙げます。


◆建設業許可の承継に必要な人的要件

 建設業許可の取得では、「経営管理業務責任者(経管)」と呼ばれる経営を管理する人と、「専任技術者(専技)」と呼ばれる技術面を担う人の存在が求められます。この二者は誰もがなれるものではなく、経管は建設業許可業者の役員として少なくとも5年以上の経験、また専技は一定の資格を取得しているか、10年以上の実務経験を積んでいるといった条件が課されています。もし社長がこの経管と専技の役割を担っている場合、社長が引退してしまうと「ヒト」の要件を満たせず、許可の取消し事由になってしまう可能性がありますので、事業の承継をするためには、後継者としてこうした一定条件をクリアできる人員を確保していかなければなりません。


◆許認可事業の事業承継は早めの対策を

 ご自身の経営されている事業に許認可が与えられている場合は、今一度その取得要件を確認してみましょう。建設業許可に限らず、「ヒト」が許認可の維持に必須となっているものが多い中、このように要件を満たすまで長い年月を要するケースもありますので、長期的な対策が必要です。




























終わり

マイナンバー通知間近!会社の対応スケジュール

◆マイナンバー制度への対応

 マイナンバーの個人番号は、今年10月より住民票の所在地に送付される通知カードにより通知されます。平成28年1月以降は希望すれば市区町村窓口で顔写真付き個人番号カードを申請することもできます。
 会社は来年以降の社会保険事務や源泉徴収事務のため、10月以降に個人のマイナンバーを収集し、その際通知カード+顔写真付き身分証明書の提出を以て本 人確認をする事となっています。但し雇用関係があり本人に相違ない事が明らかな場合や個人番号カード提示時は本人確認書類は不要です。


◆今後、会社が行う事

1.9月までに担当部署、担当者を決定する…マイナンバーの取り扱い部署、担当者、責任者を決める(経理部や人事部等)
 本社以外に支店等がある時は支店で収集窓口となる人も担当者となります。担当者以外は取り扱いしないようにし、また、秘密保持誓約書を取る場合もあります。

2.取扱規定や就業規則を策定します。

3.安全管理措置を策定します。

4.社員説明会を開いたり、従業員にマイナンバー実施と収集の目的を示した番号報告の依頼書を通知したりします。
 扶養親族については年末に扶養控除等申告書に記載してもらう事で事務の簡素化になります。扶養親族の本人確認は従業員自身にあります。会社は国民年金第 3号被保険者の手続き以外、扶養親族の本人確認は不要ですが、会社からの委任状で番号を提出してもらう方法もあります。

5.10月以降マイナンバー収集の際は直接なら封筒に通知カードの写しを入れ、通信で行う時はメール(パスワード設定)か簡易書留で行います。マイナンバーを通知されたら授受の記録を残しておきましょう。


◆28年1月以降マイナンバーを記載する書類

 雇用保険資格取得届・喪失届、継続給付請求、労災の給付申請、退職者給与の源泉徴収票 年末調整事務等


◆29年1月以降の事務

 社会保険の資格取得届・喪失届、育児休業関連、療養費、傷病手当等の給付請求、氏名変更、住所変更等
 税分野では平成28年分の税務申告や給与支払報告書、法定調書、支払調書等マイナンバーを記載した書類は法定保存期限が過ぎたら確実な方法で廃棄をすることとなっています。
















おわり

親の家屋に子が増築した場合

◆親の家屋に子が増築した場合
 親が所有する家屋を子の資金で増築するということがよくあります。この場合、増築後の登記状況等により贈与税が課税される恐れがあります。例えば、父が所有する木造平屋の家屋(時価1,000万円)に、子が家屋の時価と同額の1,000万円をかけて2階部分を増築したとしましょう。

◆民法における『付合』の考え方
 この場合、民法における『付合』の考え方を理解する必要があります。『付合』とは、別個のものがくっついて一つになるイメージになります。不動産の場合、『不動産の所有者は不動産に従として付合した物の所有権を取得する』(民242)とされています。
 この例では、父所有の家屋(主)に対して、増築部分が『付合』した物(従)とされれば、増築部分も父が所有権を有することになります。
 一般には増築部分が①事実上、分離復旧させることが不可能で、②2階部分だけ独立して取引できるような状態でなければ、『付合』したものと見られます(なお、増築部分が区分所有権の対象となるものについては、『付合』は生じません)。

◆『持分変更』で高率の贈与税課税を避ける
 今回の増築部分が区分建物として独立性がない場合、一般的には『付合』が成立し、増築部分の金銭負担者(子)と取得財産の名義(父)が異なることになります。そのため、子から父に対して1,000万円の贈与があったものして、父に高率の贈与税が課されます。もっとも、負担分=持分とする形(本事例では1/2)で登記することで、利益の移行がなかったものとして、贈与税課税を回避することができます。
 国税庁HPの質疑応答事例では、①旧家屋の持分2分の1を父から子に時価で譲渡し(本事例では1,000万円×1/2=500万円)、②その譲渡代金は、子が支出した増築費用のうち父の負担すべき部分の金額 (本事例では1,000万円×1/2=500万円)と相殺することで、贈与税の課税関係は生じないとする例を示しています。このように高率の贈与税課税を避けることはできますが、①の持分異動分については、父の譲渡所得を認識しなければなりません(この譲渡は親子間譲渡のため、居住用財産譲渡の特例等は適用できません)。同様のケースならば、登記及び譲渡の税負担を事前にシミュレーションしておくことをお勧め致します。












おしまい