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税理士 奥 山 寛 樹

神奈川県横須賀市の会計事務所ブログ

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主婦の年金改革案不満は解消せず

主婦の年金見直し案
 厚生労働省は先ごろ専業主婦の年金改革案を発表しました。
それによると会社員の夫の厚生年金保険料の半分を専業主婦の妻が負担したとみなし、夫の厚生年金保険の半分を妻に給付するというものです。

◆現行では専業主婦は保険料負担無し
 専業主婦の保険料は会社員の給与所得者で肩代わりをしています。
 この事は働いている女性からは「なぜ他人の妻の保険料を負担するのか」と言う声が多く、このため出された案は主婦も家事で夫の稼ぎに貢献しているのだから夫の年金の半分を渡すというもの。
 これには半分に減ってしまう夫側からの抵抗が大きいのも事実です。また、専業主婦も夫の死後に受け取る遺族年金が現在は亡夫の厚生年金の4分の3が受け取れるのに妻が半分の自分の厚生年金を持つと亡夫の遺族年金を受け取れなくなる恐れもあります。年金改革案と言いながら専業主婦の負担は会社員全員で肩代わりする状態は変わりません。自営業者やその妻の基礎年金の保険料は月15,020円、それを専業主婦に求める事も反発が大きく給付も負担も変える事は容易ではないようです。

◆パート労働者の厚年加入問題
 また、パートタイマーで働く短時間労働者の厚生年金保険の加入拡大は現在の週30時間勤務から20時間以上、収入条件も年130万円以下に下げる案を出しています。
 外食産業や流通業などパート労働者を多く抱えるところからかなりの反発があり、パート自身も保険料負担に消極的です。しかしパートでも夫が自営業や独身の人は自分で国民年金保険料を支払い、払えない時は年金額が減額されるのにという意見もあります。

◆抜本改革は道遠し
 夫の納めた保険料を夫婦の共同負担とみなし負担と給付を2等分する今回の案。外国ではフランスが夫婦の所得を合算後に2等分し各々の所得とみなす方法を採用していますが、累進税率の課税の公平性を目的としているものです。片方の収入が高い場合、税負担を減じ、負担を公平にする事が目的で行われているそうです。日本の場合税には適用せず、専業主婦の年金保険料だけに限定しています。目先を変えても中途半端な改革案ではないかとの意見が出されています。

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税制改正の隠れた目玉

 独立行政法人中小企業基盤整備機構の所管する中小企業倒産防止共済制度について今般税制改正の対象になっています。

■倒産防止共済制度
 中小企業倒産防止共済制度は、いつ起こるかもしれない「取引先の倒産」というような不測の事態に直面した中小企業に迅速に資金を貸し出しする共済制度です。
 毎月20万円以内の掛金を総額が800万円になるまで積み立てることができます。また加入者は、取引先が倒産した場合に、積み立て掛金総額の10倍の範囲内(最高8千万円まで)で回収困難な売掛債権等の額以内の貸し付けを受けることができます。

■どこが税制改正?
 今回の改正項目は、月額掛金と積立限度額が2.5倍に膨らんだことです。
 この共済掛金は全額損金(必要経費)になりますので、年間240万円の費用を数年に亘り創り出せることになりました。留意すべきは、損金(必要経費)になるこの掛金が掛け捨てでないことです。本来は積立金であり、掛け捨ての保険ではな
いにもかかわらず、毎月の掛金は、税法上損金(法人)または必要経費(個人)に算入できるのです。

■注意すべきこと
 解約は自由です。ただし無利息です。40ヶ月以上積み立てれば100%戻ります。40ヶ月以内の解約は損をします。倒産防止共済金を掛金の10倍まで利用しても無利息とはなっていますが、共済金の10分の1の掛金が没収となるので、全体で10%の利息となります。最長期間の5年で返済とすると年利4%に相当します。
積立金が無利息であることを考慮すると、高すぎる金利と言えます。純粋に節税商品として利用するのが最も有利な利用法といえます。

■税制上の留意点
 毎月掛金の損金(必要経費)算入は租税特別措置法に規定されていますが、損金算入に関する明細書の添付がない場合には、適用しない、とされています。法人税の場合は別表十(六)が用意されています。
 また、積立期間40ヶ月以上経過後の任意解約による積立金の全額返還は益金(収入金額)となるので、解約のタイミングも留意事項と言えます。
        
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